
はじめて子猫を迎えた方が最初に驚くのが、その寝ている時間の長さではないでしょうか。遊んだと思ったら急にバタッと倒れて寝てしまい、「具合が悪いのでは?」と焦った経験をお持ちの方も多いはずです。でも、心配はいりません。子猫がよく寝るのは、じつはごく自然なことなのです。
子猫の睡眠時間はどのくらい?
成猫の睡眠時間は約12〜14時間といわれていますが、子猫の場合は離乳後でも約18〜20時間眠ることがあります。生まれたばかりの哺乳期にいたっては、ほぼ一日中眠っていると言っても過言ではありません。成長に合わせて少しずつ短くなっていき、生後半年以降になると14〜16時間ほどに落ち着いてくる傾向があります。
それでも人間と比べれば圧倒的に長く、「これほど寝ていて本当に大丈夫なのか」と不安になるのは飼い主として当然の感覚です。
なぜ子猫はこんなに長く眠るのか
子猫の睡眠時間が長い理由は、大きく分けて二つあります。
一つ目は成長ホルモンとの関係です。睡眠中に成長ホルモンが分泌されるため、成長期の子猫には長い睡眠時間が必要になります。骨や筋肉が急速に発達するこの時期、眠りは食事と同じくらい重要な「成長の時間」なのです。
二つ目は野生時代からの本能です。猫はもともと狩猟をする動物で、いざ獲物が来たときに全力を出して追いかけられるよう、眠ってエネルギーを蓄えておくという野生の感覚が今も残っています。家で暮らすようになった今でも、その本能は消えていません。
睡眠の質に注目する
時間が長いからといって、子猫が深く熟睡しているわけではありません。猫の睡眠のほとんどは「ウトウト」しているレム睡眠の状態で、一回の睡眠サイクルの中でもぐっすり眠るノンレム状態はわずか6〜7分。熟睡している時間は合計でも3時間程度とされています。
寝ているはずなのに耳がピクピク動いたり、尻尾がパタパタしたりするのは、外敵を察知できるよう脳が半ば覚醒している状態だからです。自然界の中での危険をすぐに察知できるよう、浅い眠りを長時間とるというのが猫の睡眠サイクルの基本です。
また、寝ている子猫の手足がピクピクと動くことがありますが、これはレム睡眠の間に夢を見ることなどによって起こるもので、基本的に心配は要りません。ただし、呼びかけに全く応じないようなけいれんが続く場合は動物病院に相談しましょう。
「病気で寝ている」との見分け方
子猫の長い睡眠はほとんどの場合正常ですが、病気のサインと見分けることも大切です。日中でも暗い場所で眠り、ほとんど移動しない状態が続く場合は病気の可能性があります。毛並みが逆立っている、呼吸が荒いなどの症状があれば病院に連れていきましょう。食欲がしっかりあり、起きているときに目がキラキラして遊ぼうとする様子があれば、長時間の睡眠を心配する必要はほとんどありません。
一緒に寝ても大丈夫?
子猫が可愛くて、ついベッドに招き入れたくなる気持ちはよく分かります。しかし、特に生まれて間もない小さな子猫との添い寝には、注意が必要です。
子猫を迎え入れてすぐに一緒に寝るのは避けましょう。体が小さいため、飼い主が寝返りで押しつぶしてしまうリスクがあります。自分でベッドに安全に上がり下りできるようになる生後6か月頃が一緒に寝始める目安です。それまでは専用の安全な寝床を用意してあげましょう。
実際、一緒に寝ていた約3割の飼い主がアクシデントを経験しているというデータもあり、油断は禁物です。「うちの子に限って大丈夫」という思い込みが思わぬ事故につながることがあります。
一緒に寝るメリットと気をつけること
ある程度成長した子猫と一緒に寝ることには、良い面もあります。法政大学で行われた研究では、猫と24日間睡眠をともにした被験者のほとんどが幸福感の高まりを実感しました。また論文では、猫のほうから一緒に寝たがるようになったことから、猫の幸福度も上がったと推測されています。
一方で、衛生面にも気を配る必要があります。ノミやダニ、細菌、真菌が猫に付着していた場合、一緒に寝ると飼い主や寝具にも広がることがあります。ノミダニ予防は一年を通して行いましょう。また、猫から感染する「Q熱」や「猫ひっかき病」といった人獣共通感染症にも注意が必要で、特に免疫が低下しているときは感染リスクが高まります。
寝る前には電源コードが届かない場所に片付けること、爪切りを定期的に行うこと、シーツはこまめに洗濯することなど、日頃からの小さな習慣の積み重ねが安全で快適な共同睡眠につながります。
子猫が一緒に寝に来たがる、そのこと自体は飼い主への信頼の表れです。ただし、無理に睡眠時間を制限したり、反対に無理に一緒に寝させようとしたりすることはストレスになります。子猫の気持ちと安全を最優先に考えた環境を整えてあげることが大切です。