
子猫を育てていると、「この子、ちゃんと大きくなっているのかな」と気になることは珍しくありません。体重が思ったように増えていないと感じたとき、何と比較すればいいのか、そしてその差が問題なのかどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ここでは月齢ごとの平均体重の目安と、体重が増えない場合に考えられる背景について整理していきます。
月齢別の平均体重の目安
生まれたばかりの子猫の平均体重は100g前後ですが、個体差があり50〜150gほどの幅があります。そこからどのくらいのペースで育っていくかというと、正常であれば1日10〜15gのペースで体重が増加していきます。
生後2週間では約300gほどまで増加し、生後1ヶ月で約400〜500g、生後3ヶ月で約1.0〜1.5kg、そして体重増加がほぼ止まる生後12ヶ月には約3.0〜5.0kgまで成長します。
もう少し細かく見ると、生後4ヶ月頃は約2kg、生後8ヶ月頃は約3〜3.5kg、生後1年頃には約3.5〜5.5kgの範囲が一般的とされています。
成長のスピードに注目すると、生後4ヶ月頃には成猫の体重の約50%まで成長し、その後の増加はゆるやかになりますが、10〜12ヶ月くらいまで成長が続きます。また、成長率のピークはメスが生後13週齢(3ヶ月齢過ぎ)ころ、オスが生後15週齢(4ヶ月齢弱)ころで、ピークを過ぎてからはゆるやかに成長を続け、70週齢(1歳半)ころになるとオスもメスも成熟年齢に達して成長がストップします。
オス・メスの差と品種による違い
オスの成猫の体重は平均4kg前後なのに対し、メスの成猫は3kg前後と大きな差があり、同じ性別の猫でも1kg程度の開きが見られます。
品種による差も無視できません。品種の違いによっても体重は異なり、たとえば同じ品種内でも2〜6kg程度の開きがあることがあります。たとえばメインクーンのような大型種は、成猫の体重が約6〜8kgが標準とされており、それ以上に成長する場合もあります。また、ラグドールのような品種は通常1歳程度で成長が止まる猫が多いなかで、2〜3歳、長い子では4歳まで成長が続くこともあります。
こうした違いを踏まえると、体重の数値だけを一般的な平均と比べて一喜一憂するのは必ずしも正確な判断につながるわけではありません。猫種によって平均や適正は若干上下しますし、同じ血筋の子は小さめになる傾向がある場合もあります。
体重だけに頼らない——BCSという評価方法
数値の平均と比べることには限界があるため、獣医師の現場ではBCS(ボディコンディションスコア)という評価基準がよく使われています。BCSとは、猫の見た目と触れた状態から体型、特に脂肪のつき具合を5段階(または9段階)で評価する指標です。
BCS3が理想体重の状態で、理想体重の95〜106%・体脂肪率15〜24%に相当し、わずかな皮下脂肪を通して肋骨や骨格の隆起に触れることができ、腰には適度なくびれが見て取れる体型です。
BCSを評価するときのチェックポイントは、上からの見た目・横からの見た目・肋骨・腰の4つです。長毛種の場合は見た目だけでは分かりづらい場合もあるので、しっかり触ってチェックすることが大切です。
体重の数字が平均より少し低くても、BCSが3(理想体重)に近い状態であれば、その子の体格に合った健康な体型と判断できます。逆に体重が平均内であってもBCSが低すぎる場合は、何らかのフォローが必要なサインかもしれません。
体重が増えない時に考えられる原因
体重がなかなか増えない場合、月齢によって考えられる原因は異なります。
まず哺乳期(生後1ヶ月未満)の子猫であれば、十分な母乳を飲めていない可能性があります。すべての乳房から同じように母乳がたくさん出るわけではなく、力の弱い子が出の悪い乳房に押しやられていることもあります。きょうだい猫の数も影響していて、出産数が2頭の場合の平均成長率は1日約13.7gなのに対し、7〜8頭の場合は約7.3gと、きょうだい猫の数が多ければ多いほど成長率が悪くなります。
離乳後の子猫では、食事の内容や量が原因になっていることがあります。糖やタンパク質のほかに、ビタミン(A、B、Dなど)やカルシウム・鉄・銅などのミネラルの不足によっても成長が遅れることがあります。成猫用のフードを誤って与えていたり、おやつを与えすぎていたりすることも見直すべきポイントです。
感染症・寄生虫の影響
病気が原因になっているケースも少なくありません。子猫の体に寄生虫が潜んでいる場合、それらは子猫が摂取した栄養分を食べて成長するため、子猫に必要な栄養分をとられてしまい、体重が増えない状態になります。また腸内を蝕むことで下痢や血便などの症状をもたらすこともあります。
ジアルジアとコクシジウムの2種類の寄生虫はどちらも重度の下痢を引き起こし、脱水や体重減少につながる可能性があります。
また、感染症の場合、腸に障害を受けて栄養をうまく吸収できなかったり、下痢をして栄養が便に出てしまったりすることで、子猫の成長が阻害されます。子猫は免疫が未熟なため、こうした感染症にかかりやすい時期でもあります。
先天的な問題として、口蓋裂があると生後に摂取したミルクやごはんの一部をきちんと飲み込めなかったり、食べ物が口腔から鼻腔へ流入したりすることがあり、十分な栄養が摂れずに成長できなくなることがあります。
食べているのに体重が増えない場合の注意点
食欲があり、しっかり食べているにもかかわらず体重が増えない、あるいは減っていくという場合は、より注意が必要です。食道や胃腸だけでなく、膵臓・肝臓といった消化器官に炎症や何らかの疾患があると、摂取した栄養分をうまく消化・吸収・代謝できなくなり、痩せてきます。
慢性胃腸炎により慢性的に軽い下痢が続くと、食べても栄養が十分に吸収されずに痩せていきます。また、食道に炎症が起こる食道炎や食道が広がる巨大食道症、食道の一部が狭くなる食道狭窄症では、食欲はあっても食道の異常でうまく飲み込むことができず、食べても食後に食べ物を吐き出してしまいます。
こうした消化器の問題以外に、環境の変化によるストレスが影響していることもあります。突然の環境変化や慢性的で不快なストレスがあると、胃腸の動きに影響して吐き気や嘔吐・下痢・食欲不振などを招き、痩せてしまうことがあります。
動物病院への相談タイミング
体重が1週間で2%以上、あるいは1ヶ月で4〜5%以上も減少してしまうなど、短期間での激痩せがみられる場合や、他に元気消失・嘔吐・下痢などの症状がある場合は、早急に受診することが強く勧められます。
日常的な体重管理の観点からは、成猫では月1回以上、子猫や高齢猫・持病のある猫は週1回以上の測定が推奨されています。測定する際は100g単位まで測れる体重計を用意し、猫を抱っこして体重を測り、飼い主の体重を差し引いて猫の体重を出す方法が一般的です。
子猫の体重は個体差も大きいので、目安通りに成長していなくても慌てないようにすることが大切です。愛猫が健康であることを第一に、その子なりの成長を見守りながら、定期的に獣医師にもチェックしてもらうことが適切な体重管理につながります。