
子猫が急に餌を食べなくなると、飼い主としては何かと不安になるものです。ただ、食べない理由はひとつではなく、病気とはまったく関係のないケースも多くあります。大切なのは「なぜ食べないのか」を冷静に見極めることで、そのためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
子猫特有の食欲不振の原因
生後3〜4週目に乳歯が生え始める離乳期になると、歯の生え変わりによる痛みや違和感から食欲不振になることがあります。この時期はまだ固形食に慣れていないため、食べることへの抵抗感が出やすい段階でもあります。しばらくすれば普段どおりに食べ始めることがほとんどなので過度に心配する必要はありませんが、吐き戻しや下痢が見られる場合は獣医師に相談するようにしてください。
また、子猫の場合、ウイルス感染症やお腹の虫(寄生虫感染)、異物誤飲なども餌を食べなくなる原因として考えられます。特に外から迎え入れたばかりの子猫は、検査をしていない限り寄生虫を持っている可能性があるため、食欲不振が続く場合は一度動物病院で確認してもらうことが大切です。
食事そのものや環境が原因のケース
前の食事でたくさん食べ過ぎて、まだお腹がすいていないというケースも珍しくありません。また冷蔵庫から出したばかりの冷えた食事を嫌がる猫も多く、いつもと違うものを出した際に拒否することもよくあります。
自由採食(置き餌)をしている場合、油分が酸化して「におい」が変わってしまい食べなくなることがあります。猫はヒトと比べて6倍以上のにおいの受容体を持っていて、食べ物のにおいで食べるか否かを判断していると言われています。置き餌をしている場合は、時間が経ったものを新鮮なものに交換するだけで食べ始めることもあります。
猫は環境の変化によりストレスを感じやすい生き物で、引越しをした直後や知らない人が訪ねてきたとき、あるいは部屋の模様替えをしただけでも急に食事を取らなくなることがあります。新しい家に迎えたばかりの子猫なら、環境に慣れていないことが食欲不振の主な理由になっている場合も多いです。
食器の問題も見逃せません。深い器や金属製の食器でヒゲが触れるのを嫌がる場合は、平皿に変更すると食べやすくなることがあります。猫のヒゲは非常に敏感なため、食事のたびにヒゲが器の縁に当たるストレスが積み重なると、食器を避けるようになることがあります。
病気が疑われるサインの見分け方
病気以外の原因であれば、子猫はたいてい食事への関心は残っていて、元気に動き回っていることがほとんどです。食欲はないけれど走り回る元気はある、という場合にはお腹が空いたら食べてくれるようになることが多いです。
一方で、病気のサインは食欲不振だけにとどまらないことが多く、他の症状との組み合わせで判断することが重要です。
ある日突然元気がなくなり、まったく食事に口をつけなくなった場合には、胃腸炎や食中毒などの病気にかかっている疑いがあります。また、徐々に食事の量が減っていき、水ばかり飲むような様子が見受けられる際には、体のどこかで重篤な病気が進行している可能性があります。
食事に向かう素振りは見せるもののフードを食べない状況が続いている場合は、口腔内に何らかのトラブルを抱えているかもしれません。口臭が強くなっていたり、よだれが増えていたりする場合は口内炎や歯周病の可能性があります。
子猫で特に気をつけるべき時間の目安
食欲不振と判定するための「食べていない時間」は年齢によって違います。1〜2カ月齢の幼猫では8時間以内、2〜3カ月齢では12時間以内、3〜4カ月齢では16時間以内であれば、とくに異常ともいえません。しかしこれはあくまで目安であり、他の症状が出ている場合はこの時間に関わらず早めに受診すべきです。
成長期の子猫は食事を抜くと低血糖になりやすいため、たとえ元気があっても動物病院への受診が必要です。子猫は成猫と比べて体のエネルギー貯蓄量が少なく、短時間の絶食でも体への負担が大きくなります。
食欲不振が2日以上続く場合は、肝リピドーシス(脂肪肝)などの危険があります。猫は24時間以上食事を取らないだけでも体に負担がかかりますが、48時間以上食べない場合は特に注意が必要です。
嘔吐や下痢、ぐったりしている、鼻水や目やにが多い、体が震えているといった症状が食欲不振と同時に見られる場合は、躊躇わずに動物病院へ連れて行くようにしましょう。日頃から食べる量や水を飲む量、排泄の状態を観察しておくことで、いざというときの異変に早く気づくことができます。