
子猫を迎えたばかりの飼い主さんが意外と見落としがちなのが、毛玉への対策です。「子猫はまだ小さいから大丈夫だろう」と思っていると気づかないうちに毛球症のリスクが高まっていることもあります。早い段階からケアの習慣をつけることが、猫の健康を長く守ることに直結します。
毛玉が体内にたまるとどうなるのか
猫は自分の体を舐めて毛並みを整えるグルーミングを頻繁に行いますが、そのときに抜けた毛は吐き出さずに飲み込んでしまいます。通常飲み込んだ毛は消化管を通過して便と一緒に排泄されますが、一部は胃で消化されずに毛玉となり、大きすぎると腸閉塞や宿便を引き起こす恐れがあるため吐き出すのです。
猫の毛球症とは、飲み込んだ毛の排出がうまくいかず、胃や腸の中で大きな球状になる状態です。巨大化した毛玉は嘔吐や排泄では排出が難しく、繰り返しの嘔吐や食欲不振、便秘やお腹が膨らむ症状などがみられます。腸閉塞や窒息に繋がる恐れがあり、外科手術が必要となることもあります。
毛玉ができると皮膚の通気性が悪くなり、ふけや皮脂がたまっていき、感染が起きれば皮膚炎を起こしてしまいます。また、からまった毛で皮膚が引っ張られ痛みを感じたり、場合によっては引っ張られて皮膚が裂けてしまうこともあります。
ブラッシングの頻度は毛の長さで変わる
ブラッシングの頻度としては、短毛種であれば週2〜3回程度、長毛種であれば毎日行うのが有効です。セミロングヘアーの子猫については、週に1〜2回のブラッシングが適当ですが、ロングヘアーを持つ子猫は毎日ブラッシングが必要になる場合があります。
長時間ブラッシングをおこなう必要はありません。手短に、短時間で終わらせるようにします。やりすぎるとその場所の毛が過剰に抜けてしまったり、逆に毛並みや毛づやが悪くなることもあります。
また、猫には換毛期が春と秋(3月と11月あたり)にみられます。この時期は非常に抜け毛が多く、猫自身が毛づくろいをして普段より大量の被毛を飲み込むことになるため、いつもより丁寧にブラッシングすると良いでしょう。
子猫のうちからブラッシングに慣れさせる
子猫は幼い頃から人にグルーミングされることに慣れていると、成長してもお手入れが楽にできます。子猫の時期は特にブラッシングそのものを「気持ちいいもの」として覚えさせることが重要です。
初めてブラッシングを行う場合は、猫が嫌がらない部位から少しずつ、短時間から始め、心地良いと感じる程度でとどめておきましょう。コツとしては、猫同士でスキンシップをとっている頭や首あたりからなでるようにブラッシングを始め、嫌がらず心地よさそうにしていたら、首から背中、お尻の方向にブラッシングをすすめていくと良いでしょう。
子猫がブラッシングを好きになるように、ブラッシング後にご褒美を与えるのもおすすめです。
毛の長さに合ったブラシを選ぶ
道具選びもブラッシングの効果を左右する大切なポイントです。短毛の猫は毛が短く皮膚が近いので、なるべく皮膚を傷つけない先端のやわらかいラバーブラシがおすすめです。ラバーブラシは抜け毛や汚れを取り除いてくれる働きがあり、先端が心地よくマッサージ効果ももたらしてくれます。
長毛種の猫は、奥まで櫛が入る長めのスリッカーブラシか、コームがおすすめです。始めに軽くブラシで表面の抜け毛や汚れを取り除いてから、コームで奥の絡まった柔らかい毛をときほぐすようにといていきます。毛が絡まっていたり毛玉ができている場合は無理に引っ張らず、少しずつ周りからほぐします。
コンディショニング用のスプレーは、ノルウェージャンフォレストキャットやメインクーンなどの密度の高い被毛を持つ品種の毛の絡まりを防ぐのに役立ちます。
ブラッシング以外の毛玉対策
日頃の食事面でもケアができます。日頃の食事にも、毛玉を防止することのできるフードが販売されています。「毛玉ケア」や「ヘアボールケア」と記載されていて、可溶性食物繊維源で粘り気のあるサイリウムや不溶性食物繊維など複数の食物繊維が配合されています。そのため、毎日の毛づくろいで飲み込んだ毛が便と一緒に排泄されるのをサポートしてくれます。
猫草は、胃を刺激して毛玉を吐きやすくする効果があり、嘔吐で毛を吐くタイプの猫におすすめです。
さらに、ペースト状のサプリメントや薬もヘアボール対策として動物病院で有効性が認められているものがあります。流動パラフィンやグリセリン、アラビアゴムと嗜好性を高める麦芽エキスなどで作られており、たまった毛をウンチとして排出する際の助けになります。ブラッシングや消化器系サポートの食事、猫草などの他の対策がうまくいかない時に取り入れてみても良いでしょう。
毛玉がひどいときはプロに任せる
フェルト状になっていてくしやコームが皮膚に届かない状態になっている、小さいけど毛玉がたくさんできていて時間がかかってしまいそうな場合は、自分で無理に取ろうとせずに病院やトリミングサロンに連れて行きましょう。ひどい毛玉ができている皮膚はとてもデリケートになっているので、少し引っ張るだけでも皮膚が裂けてしまう可能性があります。また、痛みやかゆみが強く、毛玉を取ることに時間を取られるとブラッシング自体が嫌いになってしまうことが考えられます。
毛玉対策は一つの方法だけに頼るのではなく、ブラッシング・食事・サプリメントなど複数の手段を組み合わせていくことが長期的に効果的です。子猫のうちから丁寧にケアの習慣をつけてあげることで、猫自身も飼い主さんも、より快適な毎日を過ごせるようになります。